2012年 07月 19日
夏休みの記録(3) 欧州の山小屋初体験 |
第2日、7月8日(日)
今日からいよいよ、日本以外では初体験の山小屋の旅です。
この日の目的地はヴァノワーズ峠(Col de la Vanoise)の山小屋。プラロニャンから標高差約1000mで、ガイドブックによると歩きやすい道で4時間の行程。もしくはロープウェイで500m登って、100mほど降りて600m登るルートで2時間半とのこと。
普通なら前者で行くところですが、天気予報は午後に小雨と言っているので、降りだす前に小屋に着くべくロープウェイで。
しかしこのロープウェイ、ほとんど人気が無かったところをみると、大半の人たちは村から直接歩くようです。山頂駅を出て歩きながらストックを伸ばそうとしたが、、、長さ調節のネジが全然動きません。そういえば去年、しこたま雨の中を歩いた後、このストック、全然手入れしなかったからなぁ。。。 結局30分ほど奮闘して、ようやく6本のストックを全部伸ばすことができました。(そのときに1本壊してしまったようで、今度は縮まない。)
だいぶ登ったところに、こんな池があります。
以前に「Vanoise」でネット検索して最初に目にしたのがこの風景で、それが「行ってみよう!」のきっかけの一つとなったもの。
そこから1時間ほど歩くと、ヴァロワーズ峠小屋(Refuge du col de la Vanoise)。
天気予報は良い方に外れ、雨が降る気配は全くありません。早速チェックイン(と言うのかな)しますが、ベッドのある部屋に入れるのは15時からだというので、テラスでビールを飲んだあと小屋周辺を散歩。
山小屋の寝室はこんな感じ。
2段ベッドは日本の山小屋と似た感じですが、一人分のスペースはちょっと広めです。マットと布団と枕はありますが、リネンは付いていません。見ていると、封筒型のシーツ(山道具屋で売っている)を自分で持ってくるのが一般的なようです。
我々はと言うと、、、日本では小屋泊まりの時はシュラフカバーを使っていたので、カミさんと私はこれを持って行き、息子の分は無かったので前述の封筒型シーツを買って持って行きました。
結論からいうと、シーツが正解で、シュラフカバーは不正解。シーツの方が軽くて小さくてかつ快適だということのほか、ゴアテックスのシュラフカバーはゴワゴワしていて、出入りはもとより、寝返り打つだけでもガサガサ言ってうるさいです。これがテントだと身内だけなので気になりませんが、隣に赤の他人がいるとちょっと気が退けます。もし次に山小屋泊まりで行くことがあれば、大人たちも封筒型シーツを買って行くつもり。
小屋にはたいていシャワーがあり、更に大抵の場合は専用コインを買って入ります。2~3ユーロで、お湯が5分間程度出る仕掛け。ここの小屋の場合は(他も似たような感じ)、シャワーの小部屋は2つありますが、脱衣・着衣も中でやるので、結局一人10分くらいはかかります。なのでタイミングが悪いと列ができて結構待ちますが、まあなんとかなります。
小屋は素泊まり+自炊も可能ですが、ほとんどの人たちは2食+ランチパック付きで泊まります。我々もその通り。この日のこの小屋の夕食は19時からでしたが、シャワーを浴びると他にすることもないので、食堂にやってきておしゃべりしたり、飲み物飲んだり。
混んでいるときは夕食が2回戦になったりするようですが、この日は全員一回で。夕食のときは決められた席に着きます。最初に食器が配られ、しばらくすると大鍋でスープが出てくるので、これを回して各自取って食べます。全員が2杯ずつとって少し余るくらいの量。
スープ鍋が空になる頃に、今度はメイン。これも大鍋で来て、各自で取り分けます。
スープもメインも、素朴な味付けですが、ドイツの外食に比べると塩味ずっと控えめで、結構美味しかったです。まあ、山の中で食べているからというのもあるでしょうが。あと、これも素朴ですが、デザートもあります。
20時くらいには食事も終わり、あとは食堂でダベったり飲んだり、もしくはベッドに戻って寝るか。
最初に書きそびれましたが、チェックインの時に翌日の行き先を聞かれ、それによって朝食時刻とベッドの部屋が割り振られます。本格的な山登りをする人たちは、どうかすると2時くらい、遅くても4時には朝食を取って早朝に出かけます。午前中に目的地(頂上など)について、午後早いうちに安全なところまで降りてこれるように、ということだと思います。好天が続くと、昼くらいから雷雨と言うのもよくありますので。
それに対し、我々のようなハイキング客の朝食は7時くらいが普通。なので、「早起き組」と「普通組」で寝室を別にすると言うわけ。
トイレは、寝室と同じ棟にあったり、別棟だったり、それは小屋によってまちまちです。あと、普通の洋式トイレのこともあれば、イタリアあたりの公衆トイレで見かける、「床で踏ん張る」タイプのことも。後者は慣れないとちょっと苦労するでしょうが、我々の世代の日本人にとってはまあそんなに苦労しません。でも久しぶりなのでちょっと戸惑いますが。。。
寝室棟には電灯がないことも多いので、小型ヘッドランプを持参する人が多いです。私も持参したつもりでしたが、、、車のトランクに置いてきてしまいました。この時期、22時くらいまでは十分明るいのでそんなに不自由しませんが、夜中にトイレに起きる場合はちょっと困ります。幸い、いまどきの携帯電話は懐中電灯代わりにもなるのでこれで代用。
なんだか「ヨーロッパの山小屋事情」風の記事になったついでに、もう少し解説。
何処の山小屋も、室内には山靴のまま入りません。ほとんどの場合、小屋の入り口に靴&サンダル置き場があって、備え付けのサンダルに履き替えます。室内はもとより、隣の棟(例えば食堂やシャワーなど)へ行ったり、テラスへ出たりするのはこのサンダルで出かけます。誰が履いたか分からないサンダルを履きたくない人は、自前のサンダルを持ってきます。
ベッドの周囲には大した荷物置き場がないので、大きなリュックザックなんかは入り口に置き場があってそこに置くのが常識、、、とガイドブックの類には書いてありますが、ベッドのすぐ前まで持ち込む人もいます。我々はというと、身の回りのものを小さめのリュック一つにまとめて寝室に持ち込み、他の2つのリュックは置き場に残しました。
あと、初日に泊まった小屋には乾燥室があって、濡れたものを干せるようになっていましたが、あとの2泊のところにはありませんでした。雨に降られてずぶぬれになったとき、小屋では温存した着替えに着替えるにしても、翌日濡れたものをもう一度着るのはちょっと辛いですね。
もっとも、私が日本で山歩きしていたときは、ほとんどがテント山行だったこともあり、下山までは着替えなんかしなくて、「濡れたら着干し」の世界でしたが。。。
ちなみに今回の山小屋で見かけた人たち、本格登山組、ハイキング組ともに、ほとんどの人たちが小屋では小奇麗に着替えていました。30年前の日本の山小屋では、昼間の格好のままでそのまま寝る人が多かったですが、最近はどうなのかな。。。。。
小屋の料金もまちまちのようですが、我々が泊まったところは、3人分の宿泊+2食+ランチパック+飲み物少々で150ユーロくらいでした。
「ヨーロッパで山小屋に泊まってみたいが、どんなところか分からないからなぁ」という人には、少しくらいお役に立ったでしょうか。
今日からいよいよ、日本以外では初体験の山小屋の旅です。
この日の目的地はヴァノワーズ峠(Col de la Vanoise)の山小屋。プラロニャンから標高差約1000mで、ガイドブックによると歩きやすい道で4時間の行程。もしくはロープウェイで500m登って、100mほど降りて600m登るルートで2時間半とのこと。
普通なら前者で行くところですが、天気予報は午後に小雨と言っているので、降りだす前に小屋に着くべくロープウェイで。
しかしこのロープウェイ、ほとんど人気が無かったところをみると、大半の人たちは村から直接歩くようです。山頂駅を出て歩きながらストックを伸ばそうとしたが、、、長さ調節のネジが全然動きません。そういえば去年、しこたま雨の中を歩いた後、このストック、全然手入れしなかったからなぁ。。。 結局30分ほど奮闘して、ようやく6本のストックを全部伸ばすことができました。(そのときに1本壊してしまったようで、今度は縮まない。)
だいぶ登ったところに、こんな池があります。
以前に「Vanoise」でネット検索して最初に目にしたのがこの風景で、それが「行ってみよう!」のきっかけの一つとなったもの。
そこから1時間ほど歩くと、ヴァロワーズ峠小屋(Refuge du col de la Vanoise)。
天気予報は良い方に外れ、雨が降る気配は全くありません。早速チェックイン(と言うのかな)しますが、ベッドのある部屋に入れるのは15時からだというので、テラスでビールを飲んだあと小屋周辺を散歩。
山小屋の寝室はこんな感じ。
2段ベッドは日本の山小屋と似た感じですが、一人分のスペースはちょっと広めです。マットと布団と枕はありますが、リネンは付いていません。見ていると、封筒型のシーツ(山道具屋で売っている)を自分で持ってくるのが一般的なようです。
我々はと言うと、、、日本では小屋泊まりの時はシュラフカバーを使っていたので、カミさんと私はこれを持って行き、息子の分は無かったので前述の封筒型シーツを買って持って行きました。
結論からいうと、シーツが正解で、シュラフカバーは不正解。シーツの方が軽くて小さくてかつ快適だということのほか、ゴアテックスのシュラフカバーはゴワゴワしていて、出入りはもとより、寝返り打つだけでもガサガサ言ってうるさいです。これがテントだと身内だけなので気になりませんが、隣に赤の他人がいるとちょっと気が退けます。もし次に山小屋泊まりで行くことがあれば、大人たちも封筒型シーツを買って行くつもり。
小屋にはたいていシャワーがあり、更に大抵の場合は専用コインを買って入ります。2~3ユーロで、お湯が5分間程度出る仕掛け。ここの小屋の場合は(他も似たような感じ)、シャワーの小部屋は2つありますが、脱衣・着衣も中でやるので、結局一人10分くらいはかかります。なのでタイミングが悪いと列ができて結構待ちますが、まあなんとかなります。
小屋は素泊まり+自炊も可能ですが、ほとんどの人たちは2食+ランチパック付きで泊まります。我々もその通り。この日のこの小屋の夕食は19時からでしたが、シャワーを浴びると他にすることもないので、食堂にやってきておしゃべりしたり、飲み物飲んだり。
混んでいるときは夕食が2回戦になったりするようですが、この日は全員一回で。夕食のときは決められた席に着きます。最初に食器が配られ、しばらくすると大鍋でスープが出てくるので、これを回して各自取って食べます。全員が2杯ずつとって少し余るくらいの量。
スープ鍋が空になる頃に、今度はメイン。これも大鍋で来て、各自で取り分けます。
スープもメインも、素朴な味付けですが、ドイツの外食に比べると塩味ずっと控えめで、結構美味しかったです。まあ、山の中で食べているからというのもあるでしょうが。あと、これも素朴ですが、デザートもあります。
20時くらいには食事も終わり、あとは食堂でダベったり飲んだり、もしくはベッドに戻って寝るか。
最初に書きそびれましたが、チェックインの時に翌日の行き先を聞かれ、それによって朝食時刻とベッドの部屋が割り振られます。本格的な山登りをする人たちは、どうかすると2時くらい、遅くても4時には朝食を取って早朝に出かけます。午前中に目的地(頂上など)について、午後早いうちに安全なところまで降りてこれるように、ということだと思います。好天が続くと、昼くらいから雷雨と言うのもよくありますので。
それに対し、我々のようなハイキング客の朝食は7時くらいが普通。なので、「早起き組」と「普通組」で寝室を別にすると言うわけ。
トイレは、寝室と同じ棟にあったり、別棟だったり、それは小屋によってまちまちです。あと、普通の洋式トイレのこともあれば、イタリアあたりの公衆トイレで見かける、「床で踏ん張る」タイプのことも。後者は慣れないとちょっと苦労するでしょうが、我々の世代の日本人にとってはまあそんなに苦労しません。でも久しぶりなのでちょっと戸惑いますが。。。
寝室棟には電灯がないことも多いので、小型ヘッドランプを持参する人が多いです。私も持参したつもりでしたが、、、車のトランクに置いてきてしまいました。この時期、22時くらいまでは十分明るいのでそんなに不自由しませんが、夜中にトイレに起きる場合はちょっと困ります。幸い、いまどきの携帯電話は懐中電灯代わりにもなるのでこれで代用。
なんだか「ヨーロッパの山小屋事情」風の記事になったついでに、もう少し解説。
何処の山小屋も、室内には山靴のまま入りません。ほとんどの場合、小屋の入り口に靴&サンダル置き場があって、備え付けのサンダルに履き替えます。室内はもとより、隣の棟(例えば食堂やシャワーなど)へ行ったり、テラスへ出たりするのはこのサンダルで出かけます。誰が履いたか分からないサンダルを履きたくない人は、自前のサンダルを持ってきます。
ベッドの周囲には大した荷物置き場がないので、大きなリュックザックなんかは入り口に置き場があってそこに置くのが常識、、、とガイドブックの類には書いてありますが、ベッドのすぐ前まで持ち込む人もいます。我々はというと、身の回りのものを小さめのリュック一つにまとめて寝室に持ち込み、他の2つのリュックは置き場に残しました。
あと、初日に泊まった小屋には乾燥室があって、濡れたものを干せるようになっていましたが、あとの2泊のところにはありませんでした。雨に降られてずぶぬれになったとき、小屋では温存した着替えに着替えるにしても、翌日濡れたものをもう一度着るのはちょっと辛いですね。
もっとも、私が日本で山歩きしていたときは、ほとんどがテント山行だったこともあり、下山までは着替えなんかしなくて、「濡れたら着干し」の世界でしたが。。。
ちなみに今回の山小屋で見かけた人たち、本格登山組、ハイキング組ともに、ほとんどの人たちが小屋では小奇麗に着替えていました。30年前の日本の山小屋では、昼間の格好のままでそのまま寝る人が多かったですが、最近はどうなのかな。。。。。
小屋の料金もまちまちのようですが、我々が泊まったところは、3人分の宿泊+2食+ランチパック+飲み物少々で150ユーロくらいでした。
「ヨーロッパで山小屋に泊まってみたいが、どんなところか分からないからなぁ」という人には、少しくらいお役に立ったでしょうか。
by weingau
| 2012-07-19 07:17
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